はじめに

このページでは新入生向けに、部品の適合の調べ方から、実際の購入に至るまでを説明します。 部品は大きく分けて下の2つの種類があると思います。

純正(純正互換)部品と社外部品では適合の調べ方や購入の調べ方に差異があります。 このページでは純正(純正互換)部品の購入プロセスについて説明します。

今後、純正部品と純正互換部品は特に区別する必要がある場合を除いてまとめて「純正部品」と呼ぶこととします。

純正(純正互換部品)の購入

まず最初に純正(純正互換)部品の購入プロセス全体を提示します。 1 ~ 4 までは PartsFanモノタロウ を使っていくことが多いです。 慣れている人はモノタロウで最初から調べてもいいのですが、PartsFanの方が部品図が掲載されていて分かりやすいと思うので、 この記事ではPartsFanをベースに話を進めていきます。

PartsFan は利用にあたってアカウント登録が必要です。 自動車部用のアカウントがありますので、学内LINEの「ノート」を確認してみてください。 個人的にも利用したい人はアカウント登録を各自で行っても問題ありません。

モノタロウ で部品を購入するには法人アカウントが必要です。 個人がモノタロウで部品購入するためのプロセスについては今後説明する予定です。

  1. 交換箇所の決定
  2. 部品番号の調査
  3. 部品選定
  4. 適合確認
  5. 発注
  6. 受取

交換箇所の決定

故障などにより部品交換が必要であると分かったら、まずは交換箇所の決定を行います。 自動車部品には単体部品で製造・販売されているものと、ASSY(アッシー、Assembly)と呼ばれる、 いくつかの部品が複合した状態で製造・販売されているものがあります。 部品交換にさしあたっては、単体部品の購入・交換ができるのか、またはASSY交換が必要になるのか検討する必要があります。

ここで2024年現在の部車である、「ダイハツ エッセ」 (L235S) のフロントブレーキスライドピンという部品のケースを見てみましょう。 スライドピンはブレーキキャリパを保持する部品で、キャリパが横方向に動けるように設計されています。 スライドピンはキャリパとナックル(アップライト)を締結するボルトを兼ねていることがほとんどです。

ブレーキ関連部品は車体や動力の伝達に関連する部品なので、PartsFan上の区分は「Power Train/Chassis Group」です。 このグループには他にクラッチやトランスミッション、ドライブシャフトといった動力系統の部品や、 ブレーキ、ステアリング、懸架装置(サスペンション)といった車体(シャシ)関連の部品がまとめられています。
フロントブレーキ周りは「フロント ディスク ブレーキ キャリパ & ダスト カバー」の項目にまとめられています。 車種によってもまとめ方が異なりますが、概ねブレーキ関連はフロントとリアで別れています。

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スライドピンを探します。部品名のリストから探してもいいですし、部品の概形が分かっている場合は図から探してもいいでしょう。 オレンジで囲んだ部品が該当するスライドピンです。2つあるのは、スライドピンが上下にあるためで、部品番号が異なるためです。 ちなみに青枠で囲ったものがASSY部品で、複数の部品を囲うように図中で描かれているように、複数の部品が組み合わさっていることが分かると思います。 スライドピンの場合はこの47715Aと47715Dを交換すればいいということが分かりました。 今回は47715Aの方に絞って説明を進めていきます。

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部品番号の調査

47715Aというのは「エッセという車種内での部品番号」であって、「ダイハツ全体で使われている部品番号」ではありません。 したがって共通部品番号を調べる必要があります。 先ほどのページのリスト・図どちらでもいいので、「47715A」という文字列をクリックしてみましょう。 どちらもリンクになっているので、部品番号リストのページに飛ぶことができます。 エッセの場合はヒットする部品番号が47715-B2010というものひとつですが、 部品によっては複数ヒットすることもあります。 その場合は年式やグレードなどによって部品が違う可能性が高いですので、部品適合の確認は慎重に行いましょう。

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ここでこの画面のみかたについて詳しく説明します。 最左の列にはPart numberQtyという項目があります。 Part numberは「部品番号」そのもので、ネットや部品共販などで注文する際にはこの番号を伝えます。 太字の部品番号の下に「repl: 47715-97201」と書いてあります。 replというのはreplacementということで、この場合47715-B2010という部品は廃盤になったが代わりに47715-97201という部品が使える、ということを意味しています。 Qtyは数量で、この部品の場合は「2」と書いてありますが、これは左右で合計2つが規定数量であるということです。 片方だけ交換する場合は1つ注文すればいいということですね。

From - To は適合する年式です。 この部品の場合は部品番号がひとつしかないですが、ものによっては年次改良で部品が変わることがあり、 その場合は年式によって部品番号が変わります。 一応確認しておくと、部車エッセは2006年式なので2005年~2010年の範囲に収まっているので、年式から見た適合は大丈夫そうです。

最右列にはModelNoteという項目があります。 Modelは適合するモデル名です。 エッセの場合2駆(FF)がL235S、4駆がL245Sという型式名です。 部品によっては同じ部品名でも2駆用と4駆用で区別されていることがあるので、その識別のためにこの項目があります。 Noteは備考です。 オプション装備などはこの項目が書いてあることがあります。スライドピンの場合は空欄ですね。

年式やモデルが複数ある部品を探してみました。 これはエッセの右ドアミラーASSYの部品番号一覧です。 適合年式やModel、Noteの項目が部品によって異なっている点に注目してください。 このような部品は自分の車に適合するかよく吟味する必要があります。 特にドアミラーのカバーASSYやミラーレンズは電動格納の有無や除氷機能の有無、また表面コーティングの差異などで細かく別れていることが多いですね。

エッセのミラー部品リスト

さて、部品番号は分かったので、あとはこれをコピペして検索するなり、メモして部品共販やディーラで注文してもいいのですが、 もうひとつ最後に見ておくべき画面があります。 先ほどの部品番号リストの画面で部品番号の部分がリンクになっています。 「47715-B2010」をクリックすると下の画像のような画面に飛びます。 これは各品番の詳細ページです。 この画面では部品の純正価格やネットでの取扱状況を見ることができます。 あいにくスライドピンのページには価格やネットでの取扱状況が掲載されていませんでした。 Amazonや楽天で取扱がある場合はここから購入することもできるわけですね。

部品の詳細ページ

これは他の車のクラッチディスクの詳細ページです。 情報がある場合はこのように価格やネットの販売ページリンクが掲載されます。

詳細ページ、価格や販売ページあり

販売ページへのリンクは大変便利ではあるのですが、適合しないはずの部品が掲載されていることがよくあります。 したがってあくまで参考程度に捉え、ネット購入の際は自分でしっかり適合確認を行いましょう。

さて、以上がPartsFanで部品番号を調べる方法でした。 PartsFanは部品名での検索ができないため、最初は目当ての部品を探し出すのになかなか苦労しますが、 慣れてくればなんとなくあの部品はあのへんかな~というのがつかめるようになってくると思います。 また一部メーカ・車種を除けば部品図が掲載されているので、 車の構造を知ることや組み立て・分解順序を検討するときにもPartsFanは有用だと思います。

部品選定・適合確認

部品番号が分かったので、これから実際にどのメーカの部品を買うか検討します。 部品共販やディーラ等で純正部品を購入する場合にはこのステップは不要ですが、特にネット上で部品を購入する場合には 実際にどの部品を購入するか、またその部品が適合するかどうか確認するステップが必要になります。

試しに先ほど調べたスライドピンの部品番号をモノタロウで検索してみました。 スライドピンはあまりOEM製造がないので、基本純正か純正部品を卸しているメーカ(この場合ミヤコなど)くらいしか選択肢がありません。 モノタロウで検索すると他のメーカの純正品を含めて複数の部品がヒットしました。

モノタロウの検索結果

左上の(47)F/キャリパースライドピンという商品を見てみます。 この商品はダイハツの純正部品のようです。 下の方を見ると部品のリストがあって、部品番号47715-97201の部品が注文コード29857257で販売されていることがわかります。 検索では「47715-B2010」を調べましたが、「47715-97201」という部品しかないようです。 しかし先ほどPartsFanで47715-B2010の代替として47715-97201が使えることを確認しているので、こちらで問題なさそうです。

ダイハツ純正スライドピン

一つ前のページに戻り、今度は左から3番目のスライドピンを見てみます。 これはミヤコ自動車というブレーキ関連の部品を主に製造しているメーカの部品です。 これは先ほどと異なり純正互換品です。 純正互換品の場合、自動車メーカの部品番号とは異なる品番で管理されていることがほとんどなので、 適合確認をより慎重に行う必要があります。 実際ミヤコのスライドピンのページにもたくさんの部品が掲載されています。 「品番」の列にかかれているのはミヤコ内での部品番号です。 主な適合純正品番の列を見て適合を確認します。 ちょうど3行目のスライドピンが47715-97201という品番で、先ほど調べた品番と一致しています。

ミヤコのスライドピン

ちなみに左から2つめの「(47714)F/キャリパースライドピン」は検索結果に出てきていましたが、適合する部品ではありません。 詳細ページに入って「品番」を確認すると、「47714-B1010」と「47714-B2010」という品番が確認できますが、 今探している部品は「47715」から始まるものなので微妙に違いますね。 このように自動車部品の中には品番がほとんど同じにも関わらず、適合しない部品があるので注意しましょう。

不適合の純正スライドピン

今回取り上げたミヤコ自動車は広く信頼されているメーカですが、純正互換部品はピンキリです。 製造元の素性がはっきりしない部品にはなるべく手を出さないのが賢明です。

発注

純正部品を購入する経路はいくつかあります。 一つは純正部品を取り扱っている、部品共販 です。 一部の自動車メーカは部品の流通を担当する部品共販を持っていることがあります。 例えばトヨタはトヨタモビリティパーツという子会社が部品流通機能を担っていて、 国立府中ICの近くに事業所があります。 ダイハツは部品共販を個別に抱えていませんが、その代わりディーラが部品の取り扱いを行っています。 また部品共販を持っていても小売はしていないところもあるようですね。

純正部品を購入する際には車検証が必要になることが多いです。 部品共販やディーラで部品を購入する場合は車検証を持参することを忘れずに。 車検証はネット販売でも必要になるケースがあります。 また部品共販やディーラを訪問する場合は予約が必要なケースがあることに注意しましょう。 例えば2024年現在、トヨタモビリティパーツでは来店予約が必須のようです。

もう一つは代理店を経由する方法です。 純正部品はメーカ直系以外の販売経路でも購入することができて、 例えば自動車工場やモノタロウでも純正部品の取り寄せができる場合があります。 また楽天やヤフオク、Yahooショッピングでも純正部品を販売していることがあります。 自動車工場と付き合いがある場合は、そちらから発注してもらう形になります。 ネットから買う場合は普通の買い物と同じ手順で購入します。 モノタロウだけは法人アカウントが必要になる点に注意が必要です。

純正互換部品の場合は基本的にインターネットで購入する場合がほとんどです。 これもやはり主な流通路としては楽天、ヤフオクYahooショッピングなどです。

Amazonはあまり自動車部品には強くない傾向があります。 工具や電装系、油脂類などの消耗品は割と手に入りますが、それ以外の部品は取り扱いが少ないですね。 その辺は楽天やYahoo系の方が品揃えが豊富です。

販売店によっては適合確認をお店の方でもやってもらえることがあるので、 心配な場合は適合確認を頼むといいでしょう。 その際には車体番号などの情報が必要になるので、車検証が手元にあると便利です。

受け取り

最後に部品を受け取って終わりです。 部品共販やディーラで注文した場合は、注文した店舗に取りに行きます。 ただし共販・ディーラの休日は少し変則的なので、お店が休みの日に間違って行って無駄足を食わないように気をつけましょう……。 注文から到着までは販売店や時期、部品によっても異なりますが、早い場合2~3日で到着することが多いです。 注文時に納期は伝えられると思います。 受け取りの際に車検証の提示が求められることはあまりないと思いますが、念の為車検証は持参するのが賢明でしょう。

トヨタモビリティパーツは最速翌日に来ます。あんまり納期をアテにすると痛い目を見ますが、速いところは本当に速いです。

ネットショッピングの場合は従来の商品と同じ受け取り方法で問題ありません。 ただし極端にサイズが大きかったり、重量がある商品に関してはプール裏での受け取りや配送会社営業所受け取りを推奨します。 プール裏受け取りをする場合は置き配が可能な場合は、配送ドライバーさんが配送場所を理解できるように事前に説明しておきましょう。 また手渡しで受け取りをする場合は、配達時間にプール裏に部員がいるようにしてください。 配達時間に誰もおらず、配送ドライバーさんに迷惑をかけないよう気をつけてください。

過去にプール裏で受け取った部品の例
  • バンパー
  • トランクの蓋
過去に営業所で受け取った部品の例
  • タイヤ
  • ホイール
  • エンジンASSY (トラックで受け取り)

配送会社の営業所まで受け取りに行くメリットは時間の都合が付けやすいことですね。 どうしても配達時間に部員が行けない(配達時間がはっきりしないため受け取れるか微妙)な場合は営業所止めがおすすめです。 佐川急便であれば東八道路沿い、大きな荷物でお世話になることが多い西濃であれば是政の営業所に来ることが多いです。 西濃はパレットに載った商品などはフォークリフトがないと配達不可の場合がたまにあるので、その場合は営業所まで取りに行くことになります。

さいごに

純正部品の発注の仕方を説明しました。 もし手順について不安なことがあれば、先輩に相談してみましょう。 また慣れるまでは先輩にダブルチェックしてもらいないながら注文するのが堅いです。 また部車の部品を購入する場合には事前に会計担当に相談するようにしてください。 これで純正部品の購入についての説明は終わりです。お疲れさまでした。